用語〔あ〕〜〔お〕

明渡裁決
 収用委員会が行う裁決には、明渡裁決と権利取得裁決があります。(土地収用法第47条の2)
起業者は、収用委員会から出される権利取得裁決によりその土地の所有権等を取得しますが、その土地の占有権は
まだ土地所有者等にありますので、権利取得裁決だけでは現実的にはその土地を使うことはできません。(土地収用
法第101条の2 占有の継続)
そこで、その土地所有者等の占有を取り除き、これに対する補償額を定めるために設けられたのが明渡裁決です。
明渡裁決は、起業者、土地所有者及び関係人の明渡裁決の申立(土地所有者及び関係人の不利益を防ぐためです)
により収用委員会が裁決するものとされています。(土地収用法第47条の2−3)

あっ旋
 土地収用法の中の手続きのひとつで、強制収用という形による解決ではなく当事者の対立を緩和する意味で設けら
れています。
あっ旋の申請は、関係当事者のどちらかだけでもできます。(土地収用法第15条の2−1)
関係当事者というのは、起業者及び土地等に所有権又は所有権以外の権利を有する人をいいます。(所有権以外の
権利というのは借地権などが体表的なものです。)
あっ旋の申請は、紛争に係る土地等が所在する都道府県の知事に対して、事業認定の告示がされる時まで、申請す
ることができます。(土地収用法第15条の2−1)
あっ旋中に、その事業の認定の告示がされるとあっ旋は打ち切られます。(土地収用法第15条−4)
あっ旋は、収用とは別の手続きです。また、別に仲裁制度があります

一般補償基準要綱
 公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の略称で、公共用地審議会の答申を受けて、昭和37年6月29日閣議決
定されたものです。
この要綱は、土地収用法その他の法律により土地等を収用し、又は使用することができる事業に必要な土地等を取得
又は使用に伴う損失に対する、補償額の算定の基準を定めたものです。それまで各事業者において損失補償の項
目、内容等について不統一が見られていたことを是正し、公共の利益となる事業のすべてに通じて適用される適正か
つ統一的な損失補償基準を制定することによって、事業遂行の円滑化を確保することによって公平さを保とうと考えた
ものです。
この要綱の適用を受ける事業の範囲は収用等のできる事業に限らず、広く公共性の認められる事業に必要な土地等
の取得又は使用等にあたっても、この要綱に準じて算定されることが望ましいとされています。
難しい言い回しですが収用法には細かく摘要される事業が決められており、例えば職員住宅などのための用地買収は
対象外なのですが、ひろく役所等が行う用地買収全てを統一した同じ基準でやろうという精神です。
閣議了解は、要綱の適正な実施を確保する措置として公共事業施行者に対し要綱に定めるところにより、基準を制定
すること等を義務づけていますので、各公共事業者においては適宜基準を制定しています。
一般的には、中央用地対策連絡協議会が定めた、『公共用地の取得に伴う損失補償基準』(用対連基準)が基準とし
て取り扱われています。

移転先選定費
 移転先選定費とは、土地等の取得又は使用に伴って建物等を移転する場合において、移転先の土地、建物等を探
すために必要とする費用をいいます。
この補償を行なうにあたって、補償対象地域の実情を考慮して通常宅地建物取引業者に委託して選定するのが適当
であると認められる場合は、宅地建物取引業法第46条に定める報酬額と交通費等の合計額を補償します。
また、建物等の所有者及び借家人が自ら移転先等を選定するのが一般的(客観的に妥当)であると認められる場合
は、建物等の所有者及び借家人が通常移転先を選定するために必要と考えられる交通費及びその日当等を補償しま
す。

移転雑費
 土地の取得又は土地等の使用に伴い建物等を移転する場合又は、従来の利用目的に供するために必要と認めら
れる代替の土地等を取得し若しくは使用する場合において、一般的に支出が想定される経費の他に支出が想定され
る細かい経費を総称したものを、移転雑費といいます。
建物等の移転に伴って支出が想定される経費としては、動産の移転に要する費用、借家人の移転に要する費用及び
仮住居に要する費用等が一般に想定されます。したがって移転雑費は、これら経費の他に想定される細かい経費の
集まりをいいます。
移転雑費については、「公共用地の取得に伴う損失補償基準(用対連基準)」第37条第1項では、移転先の選定に要
する費用、法令上の手続きに要する費用、転居通知費、移転旅費その他の雑費を必要とするときは、通常これらに要
する費用を補償するものとしています。
また、第2項では、第44条(営業休止の補償)、第47条(農業休止の補償)、第51条(漁業休止の補償)に規定するも
のを除きそれらの者が就業できないことにより通常生ずる損失を補償するものと規定しています。
移転雑費は、このように基準では4項目に分けて規定していますが、これらの具体的な個々の取り扱いについては、
「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則(用対連細則)」第21条に次のように規定しています。
1.従来の利用目的に供するために必要と認められる代替の土地等とは、近い将来建物等の敷地になることが予想さ
れる土地や資材置場や貯木場、自動車の保管場所、製品干場等に使用されている土地や、代替の農地が画客観的
にみて必要と思われる場合の農地も含まれます。
2.移転先選定に要する費用とは、宅地建物取引業者に委託して選定することが適当であると認められるときは、委託
報酬相当額及び選定に要する交通費等とし、建物等の所有者及び借家人が自ら選定する場合は、選定に要する交通
費及び日当等とする。
3.法令条の手続きに要する費用とは、住民登録、建物の除却届及び建築届その他登記に要する手数料等とがあり
ます。
4.転居通知費、移転旅費その他の雑費は、移転する建物の用途、移転の規模及び世帯の構成等を考慮して適正に
定めた費用です。
5.建物等の所有者及び借家人が就業できないときとは、これらの者が移転先選定、移転前後の動産の整理、移住、
法令上の手続き、移転工事監督その他の事由のため就業できなくなる場合をいいます。
6.就業できないことによる損失額は、就業不能日数に当該地域における平均的労働賃金を乗じて得た額を参考とし
て算定します。

移転の代行による補償
 補償は、金銭補償を原則としていますが、この例外として替地による補償、耕地の造成、工事代行、宅地の造成など
補償と共に移転の代行による補償を規定しています。これらのものは通常、現物補償といわれるものです。
各種の現物補償のうち、「移転の代行による補償」とは、起業者が移転代行するものですが、この場合の物件は、建
物、立木等がその代表的なものです。
ただ、厳格にいうと土地収用77条の移転料は、物件所有者に対するもので、建物の賃借権者、賃借権を有する者か
ら部屋を借りているもの等に対する移転料は土地収用法第88条による補償であって土地収用法第77条の適用を受
けません。
したがって、移転の代行による補償の対象となりうる者は物件所有者であり、賃借権者等がその移転料に代えて移転
の代行による補償を要求することはできません。
また、裁決があったときは、起業者は明渡時期までに移転代行をしなければなりません。(土地収用法第100条2)

委任払
 補償金は、これを受け取るべき土地等の権利者が自ら受けとるのが原則です。これは、代理人の不正等によって土
地等の権利者が補償金を受領することができなくなることを防止する他に、土地等の権利者の代理人として補償金を
受領して、この補償金をその債権と相殺することによって、土地等の権利者が移転先の確保するために必要な資金が
なくなり、結果として事業の実施に支障を及ぼすことになることを防止するためにも必要なものです。
ただし、以上のような心配があまりない場合には委任払が認められます。
それは、
○取得等に係る土地等が共有である場合において、共有者の一人が他の共有者の代理人になるとき
○銀行、金庫、公庫又は信用協同組合、農業協同組合その他貯金の受入を行う協同組合が代理人になるとき
○その他、民事訴訟法の規定により裁判所から差押に基づく転付命令があった場合には、委任払ではありませんが
債権者に対して補償金を支払うことになっています。

うべかりし利益
 「うべかりし利益」とは、「ある出来事がなかったならば得られたであろうと一般に考えられる利益」ということで、もとも
と民法上の概念です。
民法ではこの利益が無くなることが、損害賠償の対象となるかどうかということで問題とされています。
公共用地の取得に伴う損失補償では、一般的には認められていませんが、一部は『通常受ける損失の補償(通損)』
の一種として、一定の場合に限って、補償の対象とすることにしています。
例えば、「土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常営業を一時休止する必要が認められるときは、通常休業を必
要とする期間中の収益減に相当する額を補償する。」というのがあります。
このほか、得意喪失補償、農業休止補償、漁業休止補償、及び伐期未到達立木で市場価格のあるものについての補
償などこの他にもいろいろのものがあります。

営業補償
 土地等の取得(収用)又は土地等の使用(使用)に伴い、営業上の損失が生ずる場合に、その損失の補償として行
われるのが営業補償です。
営業補償は、従前の営業を継続することが困難となり、営業を廃止しなければならないときになされる補償(営業廃止
補償)、移転期間中一時営業を休止しなければならない場合になされる補償(営業休止補償)、営業規模を縮小しなけ
ればならないときになされる補償(営業規模縮小補償)とがあります。

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