用語〔か〕〜〔こ〕

解雇予告手当
 解雇予告手当とは、労働基準法第20条の規定によって雇主が従業員を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前
に解雇の予告をしなければならないが、この予告をしない場合に雇主から従業員に支払われる当該従業員の30日分
以上の平均賃金に相当する額のことをいいます。
土地等の取得又は使用に伴って営業を継続することが不可能となって廃止せざるを得ない場合、または従来の営業
規模を縮小せざるを得ない場合、それまで雇用していた従業員を解雇しなければならない場合が生じます。
補償対象となるかどうかですが、一般的には雇い主から従業員に対する解雇予告は可能であるので解雇予告手当を
補償する必要はありません、しかし特別な事情で30日前に予告できない場合には、解雇予告手当も補償する必要が
あります。
解雇予告手当の基礎となる平均賃金とは、算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間にその従業員に対し支払われ
た賃金、給料、手当等名称の如何をとわず労働の対象として支払われた金額の総額を、その期間の総日数で除した
金額をいいます。
ただし、臨時に支払われる賃金及び3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は除かれます。

価値補償
 私有財産を公共の用に供する場合には、憲法第29条第3項の規定により正当な補償をしなければなりません。この
規定を受けて土地収用法では、土地等を収用し又は使用する場合の損失補償の内容を決めています。また、この収
用法の精神を受けて『公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱』でも同様に補償内容について各項目ごとにその規
定がおかれています。
これら法律又は要綱において定められている補償の原理は、財産権に対する補償が中心となっていて、その財産権に
対する補償の内容は、客観的市場価値を前提とする財産価値の正常な取引価格をもって補償しなければならないも
のとしています。このように財産権の価値に着目して補償することを一般に価値補償といわれています。
すなわち、財産権の取得又は使用に伴って通常生ずる損失をそれぞれのものが有する資産、経営状態に応じ、客観
的観点から判断された財産価値の減少等の損失を補てんするものであって、どこまでも従前の生活程度が復元できる
補償のことであり、機能補償のように機能回復を主とする補償の意ではありません。

仮住居補償
 土地等の取得または、使用によって、移転する建物に現に居住する者がいて、かつ、その者の仮住居が必要と認め
られるときに適用するものであり、支障する建物が移転先地に建築される期間中、その居住者が、通常の生計を営む
ために暫定的に他に居住するために要する費用の補償をいいます。
仮住居の使用に要する費用の中には、仮住居期間中の建物等の家賃相当額のほか、建物等の賃借りの通常要する
費用(一般市場で建物等の賃借りするためには家主への礼金等の支払いが慣行となっている)等、仮住居者が一時
借入れに要する費用があります。
仮住居補償を行うにあたっては、地域の慣行がある場合は慣行による取引事例によることが望ましいとされています。

関連移転
 公共事業のために取得される土地に建物等(建物及び工作物等土地に定着する物件をいうが、ここでは立木は除き
ます。)がある場合において、その建物を取得又は使用しないときは、移転料を払って他の土地へ移転させることにな
りますが、取得又は使用する土地が部分的で建物が分割されることになり、その全部を移転しなければ従来利用して
いた目的に供することが著しく困難となるときは、その他の部分の移転を認めなければならないこととなっています。こ
の移転を関連移転といいます。(用対連基準第28条)
ここでいう建物の分割とは、単に一棟の建物が分割されるような物理的分割の場合のみでなく、棟は別になっていても
機能としては一体をなしているもの(例えば母屋と納屋、あるいは質屋の店舗兼住居と倉庫など)を引き離す、といった
ような場合も含まれます。
ただ、ここで注意すべきことは、建物等の移転を必要とするのは、本来取得したり使用する土地にある建物等のみで
すから、これらの移転のしかたによっては関連移転の必要のない場合もありえるわけです。この場合はもちろん残地
部分にある建物等の移転料を補償する必要はないわけです。
たとえば、残地部分に建物の移転する余裕があり、そこに移転させることができ、同じ残地部分にある建物の残りの部
分と一体となって、従来その建物が用いてきた目的に供することができるような場合には、関連移転とする必要はあり
ません。

起業者
 土地収用法(昭和26年法律第219号)又は公共用地の取得に関する特別措置法(昭和36年法律第150号)によ
り、土地、権利、立木、建物その他土地に定着する物件、土石、砂れきを収用することが必要な土地収用法第3条各
号に規定する事業を行うものをいいます。
起業者は、代理人を選任して収用手続きを行わせることができます。(土地収用法第136条)
合併等によって、事業の承継があったときは、従前の起業者の権利義務を承継します。(土地収用法第9条)
起業者の変更があった場合には、従前の起業者、土地所有者、関係人がした手続きその他の行為は、新たに起業者
になった者に対してもその効力を有します。

起業利益
 公共事業の施行によって、通常、その起業地付近の土地は、その便利性が増進し、その生産性が向上し、その環境
が改善されることになるために値上がりすることが多いと思われます。これが起業利益です。
起業利益は起業地を中心として幅広く発生するものです。この起業利益は、事業計画が確定した段階では、既に相当
程度発生しています。したがって、起業者が用地取得を行う時に起業利益を含んだ価格で取得するかが問題になりま
す。
起業者にとっては自ら作り出した価値増を買い上げることになるわけですが、起業地外の土地所有者もそういった起
業利益を受けている事を考慮し、起業利益を含んだ価格で起業地を取得することにしています。
もっとも、道路等の場合は、起業地は道路等の敷地となり、そのものには起業利益が発生しようがありませんが、隣接
地との均衡上、隣接地と同等の起業利益が発生するものとして起業地を取得することになっています。
しかし、この起業利益は無条件で認められているわけでなく、起業者が事業認定を受けると、事業認定が告示された
時点(手続き保留をしたときは手続きの開始の告示がされた時点)で土地価格が固定され、それ以後に発生する起業
利益認められません。

休業手当
 休業手当とは、労働基準法では、使用者(事業主又は経営担当者)の責に帰すべき事由によって、労働者が就業で
きなかった場合に、使用者が労働者に支払う手当をいいます。(労働基準法第26条参照)
休業手当の額は休業期間に対する平均賃金(休業日、休業が2日以上にわたる場合は、その最初の日以前の3ヵ月
間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数で割った金額を原則としています。)(労働基準法第12条参照)の
100分の60以上であることを要し本手当の支給を怠る場合には、労働者の請求により、これらの未払金及びこれと同
額の附加金の支給を命ぜられることがあります。(労働基準法第114条)
なお、休業手当は平均賃金を基礎として計算するか、通常賃金によるかは、就業規則で定めることが労働基準法第8
9条によって義務づけられており、それぞれの賃金の6割又は6割を超えた額が支給されているのが実態です。
用地の買収に伴い、従前の営業を一時休業し又は転業する必要があると認められるときは、休業の原因を与えた者
が責任を負うものとして起業者は当該事業に対し営業補償を行なうものとされています。
具体的には、用対連基準細則において、営業補償の内容として「従業員に対する休業手当相当額」を掲げ、休業を必
要とする期間に対応する所要額を予め想定し、前払い補償することとしています。
ちなみに、細則第27において、『この期間に対応する平均賃金の100分の80を標準として当該賃金の100分の60から
100分の100までの範囲で適正に定めた額』となっています。

金銭補償の原則
 損失の補償は、土地等の権利者が金銭に代えて替地の提供等金銭以外の方法による給付(一般には「現物補償」と
いわれています。)を要求した場合において、その要求が相当であり、事業者においてその提供が可能な場合を除い
ては、原則として金銭をもってします。(土地収用法第70条、用対連基準第6条)。これを金銭補償の原則といいます。
なお基準では、事情の許す限り、要求があれば現物補償を行なうよう努めるものとするとして、努力規定をもうけていま
す。

近傍類地
 公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(昭和37年6月19日閣議決定)において、土地等の取得に係る補償につ
いては、正常な取引価格をもってすることとされ、この正常な取引価格は近傍類地の取引価格を基準とし、これらの土
地及び取得する土地の位置、形状、環境、収益性その他一般の取引における価格形成上の諸要素を総合的に比較
考慮して算定するものとされています。
近傍類地ということばは、取得する土地の正常な取引価格を算定するにあたって比較考慮すべき一般の取引事例等
の資料調査範囲を定めたもので、『近傍』は、相対的な位置関係が近接していることを示し、『類地』とは、似通った用
途的特性を備えた土地であることを示します。難しい言い方ですが、一般の土地等の需給関係において直接に売手ま
たは買手に対し、規範的な影響を及ぼしうるものの範囲を示す言葉といえます。
また、近傍類地の一般の取引価格を基準とすることは、不動産鑑定評価基準における比較方式の適用と一致するも
のであって、この方式における近隣地域の語とほぼ同一の概念といえます。
ただし、近傍地であっても類地とならない場合もあり、近傍類地の語を分離した場合は不動産鑑定評価基準と必ずしも
一致しない面も含まれているので、気をつける必要があります。なお、近傍類地の用例は土地収用法第71条において
も土地等に対する補償金の額を算定するにあたって考慮すべきものとされています。

工事の代行による補償
 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し又は使用することによって、残地に道路、みぞ、かき、さく、
その他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費
用を補償しなければならないとされています。(土地収用法75条)。この場合、補償金は金銭をもってするのが原則です
が、収用委員会の裁決がある場合には「工事の代行による補償」をすることができるとされています。(土地収用法第7
0条)。
収用委員会はどのような場合に「工事の代行による補償」の裁決をすることができるのかといえば、まず、起業者、土
地所有者又は関係人から補償金の全部又は一部に代えて起業者が当該工事を行なうことを収用委員会に対し、要求
があったこと、次に、工事の代行による補償の要求が相当であると収用委員会が認めた場合に限ります。(土地収用
法第84条2)。

耕地の造成による補償
 耕地の造成とは、山林、原野など農地以外の土地を農地に造り変えることをいい、耕地の造成による補償とは、起業
者が事業用地として取得する農地に対する金銭による買収及び補償に代えて、現物、すなわち、耕地を造成して渡す
補償をすることをいいます。
しかし、耕地の造成による補償、いわゆる現物補償については、法令ならびに実際の条件面からの客観的事情等によ
る各種の制約があり、その実現はかなり難しいものがあります。
従って、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(昭和37年6月29日閣議了解)においても「被補償者の要求にもとづ
き、その要求が相当であり、かつ、責にやむを得ないと認められるときは、事情の許す限りこれらの給付を行なう用努
めなければならない(第6条2)」と規定し起業者に対しては努力義務としています。

固定的経費
 土地等の取得又は土地等の使用に伴い通常営業を一時休止する必要があると認められる場合に、その営業休期
間中に固定して支出が予測される営業上の費用を固定的経費といいます。
企業は、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用等のいろいろの費用を使い収益を得ますが、固定的経費
は、これらの諸費用の中から企業の通常の経営活動に従い収益を得る過程において支出される経常的かつ継続的費
用で営業休止期間中に支出が予測される費用です。

個別払いの原則
 損失の補償の完全を期するため、原則として土地所有者及び関係人について各人別にすることを要し、各人別に見
積ることが困難なときに限って例外的に各人別にすることを必要としないとする原則を、個別払いの原則といいます。
(土地収用法第69条、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱第5条)これと反対のことばが代位主義といい、例え
ば土地所有権と抵当権との関係のように、抵当権を分離した価格の算定が著しく困難であるため、土地所有者に一括
して土地代を払うこと等をいいます。

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